Xが「Communities」を廃止した本当の理由——0.4%しか使われずスパムの80%を生んだフォーラム機能、その「後継」の正体【2026】

インターネット・SNS

SNSの世界では大きな節目が起きています。Xが2026年4月、長年続いたフォーラム機能「Communities」の廃止を電撃発表しました。理由は衝撃的です。利用者は全体の0.4%しかいなかったのに、スパム報告の80%を占めていたといいます。この機能はどこへ向かうのでしょうか。本記事では、Communities廃止の経緯と、代わりに登場した「XChat」と「GrokのCustom Timelines」の正体を詳しく解説します。

Xの「Communities」とは何だったのか——フォーラム型機能の軌跡

Communitiesは、RedditやFacebookグループのように「同じ趣味・関心を持つ人たちが集まる場所」として設計されました。2021年2月に構想が明かされ、同年9月8日にベータ版が始まりました。この機能では、投稿はコミュニティのメンバーに届き、会話はメンバー内で完結します。

当初の狙いは明確でした。当時のTwitterは、拡散を重視するタイムラインが主流でした。趣味の合う仲間とゆっくり語り合う場が足りていませんでした。そこで、Redditのような「場所」をXの中に再現しようとしたのです。理念としては、逆に理にかなった試みでした。

しかし現実は厳しいものでした。この機能は、ずっと一部のユーザーにしか使われませんでした。盛り上がったコミュニティも一部に限られていました。音楽ファンの部屋は約10万人規模まで育ちましたが、全体としては浸透しませんでした。Twitter時代からX時代まで、約5年間続いた挑戦でした。

なぜ廃止されたのか——「0.4%しか使われず、スパムの80%」の衝撃

廃止の理由は、Xのプロダクト責任者だったニキータ・ビア氏が2026年4月に語っています。その内容は、SNSの機能改善としては異例なほど率直でした。Communitiesの利用者は、X全体の0.4%にも満たなかったのです。

ところが、スパム報告の80%がこの機能から来ていました。金融詐欺やマルウェアの報告も同様でした。さらに、膨大な運営コストがかかっていました。運営チームの作業時間の半分が、この機能の対応に費やされていたのです。ビア氏はこの機能を「subreddit(Redditのコミュニティ)のTemu版」と例えました。安価な模倣に過ぎなかったという意味です。

私の見方としては、これは「人気のない機能」が「迷惑な機能」に変わった典型例だと思います。規模が小さいのも問題でしたが、スパムの温床になったことが致命的でした。1つの機能が、プラットフォーム全体の安全性を損なっていたのです。だからこそ、Xは勇気を持って切り捨てる判断をしたのだと感じます。

廃止の告知から延期の経緯——2026年4月の電撃発表

発表が行われたのは2026年4月でした。当初の廃止予定日は5月6日でした。しかし、コミュニティの運営者から強い反発を受けたXは、期日を5月30日まで延ばしました。大規模なコミュニティを運営する人たちには、引っ越しの準備期間が必要だったからです。

注目すべきは、この発表が「2段構え」だったことです。旧機能の廃止と同時に、新しいコミュニティの形が発表されました。1つはグループチャットの「XChat」です。もう1つは、GrokというAIが作るカスタムフィードです。Xは「壊す」と同時に「作る」を打ち出したのです。

ちなみに、実際の運用は少し複雑でした。5月30日の期限を過ぎても、Communitiesは完全に消えないまま残っていました。機能の多数がアクセス可能な状態が続いたのです。Xからは追加の説明がありませんでした。この「生殺し」の状態も、SNSの機能変遷らしい出来事だと感じます。

後継その1——グループチャット「XChat」の正体

1つ目の後継は、メッセージアプリの「XChat」です。Xの発表によると、コミュニティの後継は、フォーラムではなく「チャット」だという方針でした。つまり、ゆっくり閲覧して投稿する場ではなく、リアルタイムで会話する場に移行するということです。

XChatには「参加可能リンク」という仕組みがあります。これをタイムラインやプロフィールに固定すれば、誰でもワンクリックでチャットに入れます。グループの上限は現在350人です。将来は500人、そして1,000人まで増やす計画が示されています。

2026年4月24日には、XChatの単独アプリがiOS向けに公開されました。Rustという言語で開発され、暗号化にも力を入れたとされています。メッセージの消去、消えるメッセージ、スクリーンショット防止など、プライバシー向けの機能が並びました。広告やトラッキングもないと主張しています。

ただし、ここには注意が必要です。セキュリティ研究者は、XChatの暗号化は「Signalほど堅牢ではない」と指摘しました。秘密鍵をXのサーバー側で管理している点などが、懸念の対象でした。プライバシー重視をうたいつつも、第三者機関による検証がまだ不足していたのです。

後継その2——Grokが作る「Custom Timelines」とは

もう1つの後継が、AIが自動生成するフィード「Custom Timelines」です。これは、XのAIであるGrokが、投稿の内容を読み取って分類します。ハッシュタグやキーワードに頼らないのが最大の特徴です。文章を意味として理解し、テーマごとに振り分けます。

現在、このフィードには75以上のトピックがあります。ビジネス、マーケティング、写真、スポーツなど、分野は多岐にわたります。有料プラン「Premium」のユーザーは、最大10個のフィードをホーム画面に固定できます。カスタムフィード、おすすめ、フォロー中を指でスワイプして切り替えられます。

この設計が意味するのは、次第に整理の役割を人間からAIへ移すという戦略です。これまで「人が運営するコミュニティ」が担っていた整理を、Grokが自動でこなします。モデレーター(管理人)が不要になる点も、Xが強調するポイントとなっています。

私はこの「ハッシュタグから意味理解へ」の移行が面白いと思います。SNSの検索や整理は、長らく文字の一致に頼ってきました。それが、AIが文章の意味を理解する時代になると、タグ付けは不要になります。これは、SNSの「検索」の概念を根底から変える可能性を秘めています。

3者を徹底比較——CommunitiesとXChatとCustom Timelines

では、旧機能と新機能は、何が変わるのでしょうか。主な違いを以下の表にまとめました。

項目Communities(廃止)XChat(グループチャット)Custom Timelines
形態フォーラム型リアルタイムチャットAI生成フィード
会話の性質閲覧・投稿中心即時会話中心一方的な整理
人数上限数千〜数万人350人(将来1,000人)制限なし
モデレーター必要投稿者主体不要(Grokが自動)
利用対象全ユーザーXアカウント保有者Premium ユーザー
主な用途趣味の語り合いファン交流・連絡テーマ別の発見

一番大きな違いは、コミュニティの「場所」が消えたことです。フォーラムのように集まって語るのではなく、チャットで即時に話すか、フィードで一方的に読むかの2択になりました。この変化に、戸惑いを感じるユーザーも少なくないでしょう。

「クローズドコミュニティ回帰」——Xだけではない2026年の大潮流

実は、この流れはXだけのものではありません。2026年、SNS業界全体が「閉じたコミュニティ」への回帰を進めています。Instagramでは、リール動画を親しい友人のDMで共有する人が増えました。BeRealやDiscordのように、本当に仲の良い友達同士でやりとりする場も人気です。

Threadsにはメッセージ機能が追加されました。noteにも1対1のメッセージ機能が登場しました。プラットフォーム各社が、一斉に「クローズドな会話」の機能を整えています。大規模に公開する広場よりも、限られた相手と深く話せる場所が重視されているのです。

この変化を、ある識者は「打ち上げ花火から手持ち花火へ」と表現しました。誰もが見られる大規模な花火(=大きな拡散)から、一人ひとりが手に持って楽しむ花火(=身近な会話)への転換です。XのCommunities廃止は、この大きな流れの象徴とも言えます。

ビジネスモデルの裏側——「コスト」と「広告」のトレードオフ

冷静に考えると、この改革にはビジネス的な理由も見えてきます。Communitiesは、Xにとって「コストの塊」でした。スパム対応に膨大な時間がかかり、その割に広告収益を生みませんでした。費用ばかりかかり、売上に貢献しない機能だったのです。

一方で、Custom Timelinesには広告を載せられます。あるメディアの検証では、各トピックのフィードに広告が表示されました。75以上のトピックは、そのまま75以上の広告枠になり得ます。10個のフィードを固定すれば、10個の広告面が生まれます。

つまり、Xは次の整理をしています。スパムを生むコストセンターを切り捨て、AIが整える広告サーフェスに置き換えたのです。ユーザー体験を良くするという建前の裏で、収益構造の改善も同時に狙っています。SNSの機能改革を読み解くとき、この2つの視点は欠かせません。

課題と今後の展望——「場所」を失ったユーザーはどこへ

今回の改革には、明らかな課題も残っています。最大の懸念は、大規模なコミュニティの受け皿がないことです。4万人規模のファンクラブを、350人上限のチャットで代替するのは現実的ではありません。大きなコミュニティを運営していた人たちは、行き場を失いかねません。

また、Custom Timelinesは有料プラン限定です。無料ユーザーには、まだAIが整えるフィードの恩恵が十分に届いていません。この段階では、新しい「場所」は一部のユーザーだけのものと言えます。普及には、もう少し時間がかかりそうです。

今後の鍵は、XChatがどのように拡張されるかにありそうです。人数上限が1,000人に達し、Android版も広く使えるようになれば、コミュニティの受け皿としての役割が強まります。SNSの「広場」が消えた後に、どんな新たな「場所」が生まれるのか。その行方を追いかけるのは興味深いテーマです。

【FAQ】XのCommunities廃止に関するよくある質問

ここでは、Communities廃止に関して寄せられる代表的な質問と、その回答をまとめました。

質問回答
Communitiesはいつ廃止予定だったのですか?2026年4月に発表され、当初は5月6日、その後5月30日に延期されました。実際の運用は複雑ですが、新機能への移行が進んでいます。
なぜこんなに利用者が少なかったのですか?Xのタイムラインは拡散と即時性が中心で、じっくり語り合う「場」の文化と噛み合わなかったためです。利用者は0.4%しかいませんでした。
XChatで大規模なコミュニティは運営できますか?現状は難しいと言えます。上限が350人で、4万人規模の受け皿としては不十分なためです。将来的な拡張に期待がかかります。
Custom Timelinesは誰でも使えますか?現状は有料プラン「Premium」のユーザーが中心です。最大10個のフィードをホーム画面に固定できます。
XChatの暗号化は安全ですか?十分に注意が必要です。秘密鍵をサーバー側で管理する点など、Signalと比べて堅牢ではないと研究者が指摘しています。
この改革は広告収益を増やす狙いがあるのですか?はい、その側面があります。スパムの温床だった機能を切り捨て、広告を載せられるAIフィードへの移行は、収益改善にもつながると考えられています。

まとめ——「つながり」の形はこれからも変わり続ける

XのCommunities廃止は、SNSの「つながり」の形が変わっている証といえます。大きな広場で語り合う時代から、狭いチャットやAIが整理するフィードの時代へ。この流れは、XだけでなくSNS全体に広がっています。変わらないのは、人々がつながりを求める気持ちだけかもしれません。

もし、自分のコミュニティを運営しているなら、新しい機能を試してみてください。XChatで親しい人たちと話し始めるのも良いでしょう。Custom Timelinesで関心のある話題を見つけるのも効果的です。まずは実際に触れて、新しい居場所の形を確かめてください。今日から区切りなく試すのは難しいかもしれません。それでも、今すぐあなたのホーム画面でXの変化を確認してください。新しい機能をあなた自身のペースで始めましょう。

コメント

タイトルとURLをコピーしました