Xがクリエイター収益化を大改革——『Original Content Rewards』開始とX Money移行、2026年秋の新ルールを徹底解説

インターネット・SNS

2026年9月、X(旧Twitter)の収益化の仕組みが大きく変わりました。9月7日に、3年間続いた「クリエイター収益分配プログラム(Creator Revenue Sharing)」が終了したのです。翌8日からは、新しい「Original Content Rewards」への申請受付が始まっています。米国のクリエイター向けには、支払い手段の「X Money」への移行も9月2日に完了しました。そして明日9月11日には、旧プログラムの最終支払いが予定されています。「Xで稼ぐ」を当たり前にしてきたルールが、いま一気に書き換えられようとしているのです。本記事では、この大改革の全貌を分かりやすく解説します。

私も普段からXで情報発信をしている立場として、今回の変更は「いよいよ来たか」という印象でした。単なる条件変更ではなく、プラットフォームが「誰に、何を、どう報いるか」という根本の設計を変えるからです。

なぜ「Revenue Sharing」は終了したのか——8月7日の衝撃発表

事の発端は、8月7日の公式発表でした。Xは同日から旧プログラムの新規受け付けを停止し、「9月7日で終了する」と告げたのです。発表の場に立ったのは、クリエイター向け収益化を統括するアレグラ・ジャッキア氏です。

ジャッキア氏は、旧プログラムの状態を「インセンティブが歪んでいた」と率直に表現しました。広告収益の分配を主軸にしたモデルは、優れた作品よりも「怒りをあおる投稿」「返信を集める投稿」「使い回しの動画」に報酬が流れやすい構造だったといいます。「クリエイターは報酬の最大化ではなく、プラットフォームに新しいコンテンツをもたらすことに集中すべきだ」——これが改革の核心にある考え方です。

実は、今回の決断に至るまでの曲折もありました。Xは4月にアグリゲーター(他人の記事を集めて載せるアカウント)やクリックベイトへ支払いを減らす変更を実施。3月には支払い計算の変更に反発が殺到し、イーロン・マスク氏が一部の変更を一時停止する場面もありました。部分修正を重ねるより、最初から設計し直す方が良い——ジャッキア氏はそう判断したのです。

新プログラム「Original Content Rewards」の全貌

新しいOriginal Content Rewardsは、9月8日から申請の受け付けが始まりました。ただし、旧プログラムのメンバーだったからといって自動的に移行できるわけではありません。全員が新たに申請し、審査に通る必要があります。

参加条件は3つです。一つ目は、X Premium(またはPremium+)への加入。二つ目は、認証済みフォロワーが500人以上であること。三つ目は、過去90日間に認証済みユーザーのホームタイムラインで50万インプレッションを獲得していることです。

内容の審査も重要です。対象になるのは、自ら行った報道や分析、自分で撮影した写真・動画、自作のミームやグラフィックなどです。他人の素材を元にした投稿は「意味のある独自の価値」を加える必要があります。一方、他アカウントからの丸写しや、ダウンロードした動画の再アップロード、無変形のリポストは対象外です。AIで生成・自動投稿したコンテンツも収益の対象になりません。

支払いは2週間ごとで、アカウントと投稿がルールを満たし続ける限り継続されます。審査に落ちた場合、条件を満たしていても90日間は再申請ができない点には注意が必要です。

【比較表】旧プログラムと新プログラムの違い

旧プログラムと新プログラムの違いを、表にまとめました。インプレッションの条件は数字だけ見ると緩和されていますが、計測対象が「認証済みユーザー限定」に変わっている点が重要な違いです。

項目旧Revenue Sharing新Original Content Rewards
新規受け付け8月7日で停止9月8日から開始
フォロワー条件認証済み500人認証済み500人(同じ)
インプレッション条件3カ月で有機500万90日で認証ユーザー50万(返信除く)
重視する価値エンゲージメント量オリジナリティ
AI生成コンテンツ(規定が曖昧)対象外と明記
支払いサイクル2週間ごと2週間ごと(米国はX Moneyで即時)
申請の扱い自動継続全員が再申請、却下後90日待機

旧プログラムの「3カ月で有機500万インプレッション」は、返信やエンゲージメント込みの数字でした。新プログラムの50万は、認証済みユーザーがホームタイムラインで見た回数に限定されています。単純な比較はできませんが、個人クリエイターにとっては現実的なハードルになったともいえます。

米国の支払いは「X Money」へ——9月2日から移行完了

収益化プログラムの変更に合わせて、お金の受け取り方も変わりました。9月2日から、米国のクリエイターへの支払いは、従来のStripeからX自身が運営する決済サービス「X Money」に移行しています。これはOriginal Content Rewardsの報酬だけでなく、サブスクリプション収入にも適用されました。

最大の変化は「即時アクセス」です。これまでのStripe方式は2週間ごとの支払いで、最低30ドルに達しないと引き出せませんでした。X Moneyでは、送金された瞬間に資金へアクセスできます。最低額の壁もありません。

X Moneyは銀行ではなく、FDIC保険付きのクロスリバー銀行が口座を支えるウォレットです。入金残高には年6%の金利(X Premium+は自動適用、Premiumは直接入金連携で適用)が付き、通常4%です。専用カードを使えば最大3%のキャッシュバックも受けられます。税金の扱いも変わり、個人クリエイターには1099-NECフォームが発行されます。法人はW-9情報の提出が必要です。米国外のクリエイターは、現時点では引き続きStripe経由となります。

「独自性」はXだけの話ではない——YouTubeもAmazon商品タグを解禁

オリジナル重視への流れは、Xだけのものではありません。YouTubeも8月27日、米国の対象クリエイターがAmazonの商品タグをShorts、長尺動画、ライブ配信に付けられるようになったと発表しました。

仕組みはこうです。動画の説明欄にアフィリエイトリンクを貼って「視聴者がコピーして購入してくれるのを待つ」時代は終わりました。動画内に直接商品をタグ付けすれば、購入が成立した時点で自動的にコミッションが発生します。YouTube側が需要の高い商品カタログを用意しており、クリエイターはそこから選ぶだけで済みます。

さらに「自動タグ付け」も用意されました。有効化すると、AIが投稿済み動画を分析して、適切なAmazon商品を自動でタグ付けしてくれます。海外の視聴者には、各ローカルの信頼できる販売店と自動マッチングされ、国際購入でもコミッションを得られます。なお、商品が返品された場合はコミッションが差し引かれます。

私が特に注目したのは、審査の方向性がXと重なる点です。YouTubeの収益化ポリシーも「オリジナルで本物のコンテンツ」を求め、繰り返し投稿や軽い変換だけの大量生産には制限をかけています。支払い制度を通じて「低品質なコンテンツを減らす」という、プラットフォーム共通の戦略が見えてきます。

【比較表】XとYouTube——2026年秋の収益化ルール

主要プラットフォームの秋のアップデートを並べてみました。どちらも「いかに稼ぐか」ではなく「いかに創るか」に軸足を移しているのが分かります。

項目XYouTube
主な収益プログラムOriginal Content RewardsYPP+Shopping Affiliate
最近の目玉施策9月の制度全面刷新8月27日、Amazon商品タグ解禁
オリジナリティ基準丸写し・無変形リポスト不可繰り返し・大量生産・軽変換に制限
AI生成コンテンツ収益対象外と明記ポリシー上は行為次第で判断
支払い手段米国はX Moneyで即時AdSense経由(月次)

Xが「認証済みユーザーとの交流」を軸に報酬を設計しているのに対し、YouTubeは「商品購入という明確な行動」に報酬を結び付けています。稼ぎ方の哲学は異なりますが、両者とも「かけ流しできる中身の薄いコンテンツ」にはお金を払わない方向で一致しています。

公開されたアルゴリズムが示す「透明性」への転換

今回の改革を理解するうえで欠かせないのが、8月13日に行われたレコメンドアルゴリズムの公開です。XはGitHubの「xai-org/x-algorithm」で、おすすめタイムラインの核心コードを更新し、各行動(いいね、リポスト、通報など)をどの程度重視するかを示す「重み」の実数値を公開しました。

公開内容はコードだけではありません。可視性を左右するラベルの統計を確認できる「Under the Hood」という透明性ツールも試験提供が始まっています。自分の投稿が「スパム」「低品質」などのラベルで制限されていないか、誰でも確認できる設計です。

ただし、誤解も広がりました。「通報の重みはいいねの468倍」という情報を「通報1件でいいね468件が相殺される」と解釈する投稿が話題になったのです。Xは翌14日に公式に訂正しました。重みが掛けられるのは「自分がその行動を取る予測確率」であり、生のエンゲージメント数ではありません。また、スパム関連のラベルの中には、14日で自動失効するものもあります。ソースコードが出たことで、こうした誤読を正す議論が可能になった点も、公開の意義といえるでしょう。

クリエイターへの影響——得をする人、損をする人

では、この改革で誰が得をして、誰が損をするのでしょうか。まず想定されるのは、アグリゲーターやクリックベイト系アカウントの打撃です。他人の投稿を集めて再配信するスタイルは、新プログラムの対象外になる可能性が高いからです。

影響は投稿数にも及びます。Xは未認証アカウントの投稿を、1日あたりオリジナル50本と返信200件までに制限しました。スパム対策が目的ですが、結果としてPremium加入を促す効果もあります。

一方で、得をするのは「生の情報」を発信する人たちです。ジャーナリスト、専門家、現場で撮影した写真や動画を載せるアカウントは、むしろ評価が上がるでしょう。私の知る限り、取材の裏話や実体験を独自の言葉で綴るアカウントほど、この流れに乗りやすいと感じます。

FAQ——X収益化の新制度に関するよくある質問

ここでは、新制度にまつわるよくある質問と回答をまとめました。申請前に確認しておきましょう。

質問回答
新しいプログラムにはどうやって申し込むの?9月8日以降、Creator Studioから申請できます。旧メンバーから段階的に案内が届きます。
収益化の条件は?Premium加入、認証済みフォロワー500人、90日間で認証ユーザー50万インプレッションの3つです。
AIで作った文章や画像は収益の対象になる?なりません。AI生成や自動投稿によるコンテンツはOriginal Content Rewardsの対象外です。
リポストだけで収益は得られる?無変形のリポストは対象外です。独自の価値を加えたコメント付きで投稿すれば対象になります。
お金はどうやって受け取るの?米国はX Moneyで即時受け取り。米国外はStripe経由で2週間ごとの支払いです。
申請が却下されたらどうなる?条件を満たしていても90日間は再申請できません。ルールを守りながら再チャレンジしましょう。

まとめ——「稼ぐ」から「創る」へ、X収益化の新時代

2026年秋、Xの収益化は「再生数やエンゲージメントの最大化」から「オリジナルコンテンツの創出」へと大きく舵を切りました。アルゴリズムの重み公開と収益化改革は、同じ方向を向いています。プラットフォームは「何が評価されるか」を透明にしながら、「それを創れる人」に報酬を集中させようとしているのです。

ルールは今後も「改善と基準の引き上げ」が続くと、X自身が明言しています。大切なのは、変化を恐れずに自分の発信スタイルを見直すことです。まずは公式のヘルプページで最新ルールを確認してください。そして、あなただけの言葉で発信する仕組みづくりを、今日から始めましょう

コメント

タイトルとURLをコピーしました