AIスマートグラス2026年後半戦——Meta 4モデル投入とGoogle・Apple参入、1000万台時代に突入する「次のメガネ」

ガジェット

2026年、スマートグラスが「ガジェット」から「日常品」へと変わり始めています。メタは年内に4つの新モデル投入を計画し、グーグルは秋にAI搭載グラスを発売します。背景にあるのは、2025年に前年比3倍の700万台を売り上げた「レイバン・メタ」の成功です。本記事では、2026年後半に一斉投入されるAIスマートグラスの最新情勢を、市場データと各社の戦略から解説します。

市場が3倍に膨らんだ——スマートグラスを巡る「数字」の現実

まずは市場全体の状況を確認しましょう。調査会社カウンターポイントリサーチのデータによると、2025年下半期のスマートグラス市場は前年同期比139%増という急成長を記録しました。この成長を引っ張ったのがメタです。同社はスマートグラス出荷台数の82%を占め、独走状態にあります。

注目すべきは構成の変化です。2025年下半期の総出荷台数のうち、AIスマートグラスが88%を占めました。一方で、シンプルなオーディオ専用グラスの需要は大幅に低迷しています。「AIが入っていないグラスは売れない」時代に突入したということです。

価格も上昇傾向にあります。AIグラスの平均価格は2025年上半期の347ドルから、下半期には360ドルまで上昇しました。世界的なメモリ不足が解消されなければ、さらに高騰する可能性があります。2026年第1四半期も成長は続きます。世界のインテリジェントアイウェア出荷台数は前年比83%増となり、ARグラスが136%増、ディスプレイ非搭載のスマートグラスが210%増で市場をけん引しました。

指標数値出典
2025年下半期スマートグラス市場前年同期比139%増Counterpoint Research
メタのスマートグラス出荷シェア82%Counterpoint Research
AIグラスの出荷割合(2025年下半期)88%Counterpoint Research
AIグラス平均価格347ドル→360ドルCounterpoint Research
2026年Q1インテリジェントアイウェア前年比83%増Counterpoint Research
Q1 ARグラス / スマートグラス136%増 / 210%増Counterpoint Research

メタ——年内4モデル投入と「1000万台」宣言

成長の中心にいるメタは、次の一手をすでに動かしています。米The Informationが入手した社内メモによると、同社は2026年後半に少なくとも4モデルの新スマートグラスを投入する計画です。コードネームは「Modelo」(最短6月)、「Luna」と「RBM2 Refresh」(秋)、「Mojito VIP」(12月)の4種です。さらに「Artemis」と「SSG」(スーパーセンシンググラス)もテスト中とされています。

販売面の目標は野心的です。メモには2026年後半に1,000万台のウェアラブル販売を目指すと記されています。ブルームバーグの報道では、メタとエシロールルクソティカは生産目標を2倍に引き上げ、年間生産能力を2,000万台に増やし、最大3,000万台まで拡張できる体制を構築中だといいます。

収益モデルの変化も注目ポイントです。法人向けサブスクリプション「Wearables for Work」の計画が浮上しており、ハードウェアの単発販売に依存しない構造への転換を探っています。また、2025年に買収したスタートアップ「Limitless」の技術を活かしたAIペンダントの開発も進行中です。会話の録音・文字起こし・要約を行うこのデバイスは、2027年春から社内テストを開始する予定です。エージェントAI「Hatch」をグラスに搭載する検討も進められています。

グーグル×サムスン——Geminiを載せた「Intelligent eyewear」

メタに対抗するのがグーグルです。5月19日の「Google I/O 2026」で、同社はAndroid XR対応のAIスマートグラス「Intelligent eyewear」の発売を発表しました。オーディオグラスとディスプレイ内蔵グラスの2種類があり、どちらもGeminiと連携します。まずはオーディオグラスを2026年秋に先行発売します。

連携はサムスンとの共同開発で、ファッションブランド「GENTLE MONSTER」と「WARBY PARKER」とのコラボ商品として展開されます。「OK Google」と声を掛けるか、テンプル部分をタップするだけでGeminiを呼び出せます。歩行中に通り過ぎたレストランの情報を調べたり、外国語の看板を翻訳したり、現在地に合わせた道案内も可能です。

画像編集まで音声で完結します。撮影した写真に「みんなに面白い帽子をかぶせて」と指示すれば、背景の除去や加工をGeminiが実行します。リアルタイム音声翻訳や、Android向けエージェントAI「Gemini Intelligence」によるバックグラウンド処理にも対応しています。対応OSはAndroidとiOSの両方で、既存スマホユーザーを取り込める設計です。

アップル——3つのウェアラブルと2027年への布石

アップルの動きは、スマートウォッチで見せた「後発でも勝ち切る」戦略を思い起こさせます。まずは同社が進める3つの製品群を見ていきましょう。

3製品が同時に動いている

アップルも静かに動き始めています。ブルームバーグのマーク・ガーマン記者によると、同社はスマートグラス、AIピン、カメラ付きAirPodsの3種類のウェアラブルを開発中です。発売時期は2026年から2027年にかけてと報じられました。スマートグラスはディスプレイを搭載せず、カメラ2基を備える設計です。写真・動画撮影と周囲の状況把握を役割分担させる構想だといいます。

ただ、スケジュールは後ろ倒しの兆しもあります。6月1日には「発売は2027年後半に延期か」という報道も出ました。それでも、私の見立てではアップルの本格参入は市場の転換点になります。実店舗での試着・フィッティングという強みを活かせば、一般消費者への認知が一気に広がるからです。

見逃せないのがグーグルとの関係です。アップルは次世代AIにGeminiを採用するためグーグルと提携しており、ウェアラブルでもカメラ機能やライブ認識をGeminiで強化する可能性が報じられています。ライバル同士の「敵と味方」が入り混じる構図は、市場の競争を一層激しくしそうです。

中国勢の逆襲——RayNeo首位、Even Realitiesユニコーン、Rokid

米国勢だけでなく、中国勢の存在感も急速に高まっています。カウンターポイントリサーチの調査では、RayNeoが2026年第1四半期のARスマートグラス出荷台数で23.7%のシェアを獲得し、4四半期連続で世界首位となりました。2025年後半には動画視聴向けARグラスで42%のシェアを記録。北米出荷も前年同期比456.5%増と急伸しています。

資金調達でも話題を集めています。中国のEven Realitiesは、美団と騰訊(テンセント)が主導する資金調達で評価額10億ドルに達し、ユニコーン入りしました。同社の主力製品「Even G2」はカメラを一切搭載しない設計です。両眼式のモノクロ表示と専用スマートリングで操作する方式で、「プライバシーは設定ではなく設計で守る」という哲学を持っています。

映像ARの分野にも新興勢力が台頭しています。VITUREは前年同期比281%増と成長し、中国以外の市場でARグラス出荷首位を獲得しました。XREALは消費者向けARグラスOEMとして初のIPO申請を行っています。Rokidはウェーブガイド型グラス「Rokid Glasses」で世界首位に立ち、日本でも7月10日から一般販売を開始しています。

【比較表】2026年後半戦の主要モデルを比べる

2026年後半に注目すべきモデルを、形態と特徴で整理しました。選ぶときの参考にしてください。

製品メーカー形態特徴
Ray-Ban Meta Gen2Meta×エシロールルクソティカカメラ+音声AI2025年に700万台超、世界で最も売れた
Modelo / Luna等Metaカメラ+AI年内に最大4モデル投入、生産能力2000万台体制
Intelligent eyewearGoogle×Samsungカメラ+音声AIGemini搭載、秋にオーディオグラス先行発売
Even G2Even Realitiesカメラなし+モノクロ表示スマートリングで操作、プライバシー最優先設計
Rokid GlassesRokidカメラ+ウェーブガイド表示ウェーブガイド型で世界首位、日本でも販売中
RayNeo Air 4 ProRayNeo映像特化AR世界初のHDR10表示、出荷台数世界1位
AR Vision GR0 / GI0Acer映像AR / カメラAI2026年内に2機種参入、300〜500ドル

顔認識とプライバシー——Metaの新特許が投げかける問い

成長の陰で、プライバシーを巡る議論も活発化しています。メタは2月4日に出願した特許を8月13日に公開しました。内容は、カメラ映像から顔認識で人物を特定し、笑う・微笑む・まばたきといった行為を検出したうえで、その人物に関連付けたメディアファイルを生成するというものです。図面には「今夜のディナーパーティのハイライトができました」という通知画面も描かれています。

便利さの裏側にはリスクも潜んでいます。この顔認識特許を巡っては、ストーカー行為やDVへの悪用を懸念する報道が相次ぎました。さらに、2026年3月にはケニアの委託業者がRay-Ban Metaの撮影映像をAI訓練用に人手でレビューしていたことが発覚し、入浴や性行為などの極めて個人的な場面が含まれていたと報じられました。米国では集団訴訟が提起されています。

こうした流れを受けて、カメラを持たないEven G2の戦略が改めて注目されています。私もスマートグラスを日常で使う立場として、撮影機能の便利さと周囲への配慮のバランスは難しいと感じています。メタは過去にFacebookの顔認識機能を巡って巨額の和解金を支払った経緯があり、今回の特許が実際の製品でどう実装されるかは、規制当局の動向も含めて注視が必要です。

日本市場——日本語対応が始まった「メガネの2026年」

日本でも買える環境は急速に整っています。Ray-Ban MetaとOakley Metaは5月に日本発売され、6月末のアップデートで日本語ライブ翻訳に対応しました。RokidのスマートAIグラスは7月10日に一般販売を開始しています。国産ブランドでは、鯖江(さばえ)の眼鏡産地を背景に持つSABERAや、HTCのVIVE Eagleなどが選択肢に並びました。

映像特化のARグラスも充実しています。XREALは日本市場を先行投入地域として重視し、高性能モデルから約4万円台のエントリーモデルまで幅広く展開しています。秋には新モデル「XREAL Aura」の発売も控えています。私の周囲でも、海外出張にスマートグラスを持ち込む同僚が増えてきました。翻訳機能が実際に役立つシーンが増えているからです。

課題と展望——価格高騰、バッテリー、そして2027年

順調に見える市場にも課題はあります。第一は価格です。AIグラスの平均価格は上昇を続けており、世界的なメモリ不足が解消されなければ、2026年はさらに高騰する懸念があります。第二はバッテリーです。ユーザーからは「駆動時間の改善が必要」という声が依然として上がっています。

供給面では生産歩留まりの問題もあります。メタのディスプレイ内蔵型「Meta Ray-Ban Display」は主要部品の歩留まり制約に直面し、販売地域が米国限定にとどまっています。技術的な難易度が高くても、ディスプレイ搭載は次の競争軸になると見られています。

展望は明るいと言えます。グーグルは2026年秋にオーディオグラスを投入し、アップルが2027年に参入すれば、市場はさらなる拡大局面に入ります。カウンターポイントリサーチも「2026年も力強い成長が続く」と予測しています。2027年には、スマートグラスが「スマホの次」の主役として定着する可能性が高いでしょう。

【FAQ】AIスマートグラスに関するよくある質問

ここでは、スマートグラスの購入を検討している方に向けて、よくある質問と回答をまとめました。

質問回答
AIスマートグラスとARグラスの違いは何ですか?AIグラスはカメラと音声AIで情報提示をするタイプで、見た目はほぼ普通のメガネです。ARグラスはレンズに映像を映すタイプです。
スマートグラスは日本で買えますか?買えます。Ray-Ban MetaやRokid、XREAL、SABERAなどが日本で販売されています。
カメラ付きグラスはプライバシー的に安全ですか?撮影時にランプが点灯するモデルが多く、映像の扱いには各社の規約があります。カメラなしのEven G2を選ぶ手もあります。
スマートフォンはまだ必要ですか?必要です。現状のスマートグラスはスマホと連携する形が主流で、完全に置き換わるのはまだ先です。
価格はどのくらいですか?AIグラスは3万円台から10万円台、映像特化のARグラスは2万円台から10万円台まで幅広くあります。
2026年後半が買い時ですか?新しいモデルが一斉に投入されるため、選択肢が広がる好機です。まずは試着できる店舗で確認するのがおすすめです。

まとめ——「スマホの次」はメガネが握る

2026年後半は、スマートグラス元年と呼べる局面になります。メタは4モデルと1,000万台の販売を掲げ、グーグルは秋にGemini搭載グラスを発売し、中国勢は価格と技術で攻勢をかけています。アップルの参入が噂される2027年には、市場はさらに大きくなるでしょう。

気になるモデルがあれば、まずは公式サイトでスペックを確認してください。街中の量販店で試着できる機会も増えています。私も次世代モデルに注目しながら、新しいメガネの時代を一緒に始めましょう。

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